債務整理の種類 – 誰にもバレずに内緒で借金整理 https://xn--98jzans4lu43rpbcu67dfo1amqu9i4c.com Mon, 27 Nov 2023 13:42:40 +0000 ja hourly 1 https://xn--98jzans4lu43rpbcu67dfo1amqu9i4c.com/wp-content/uploads/2020/11/cropped-siteicon_nightbra-32x32.png 債務整理の種類 – 誰にもバレずに内緒で借金整理 https://xn--98jzans4lu43rpbcu67dfo1amqu9i4c.com 32 32 過払い金請求とは?メリットとデメリットをわかりやすく解説します https://xn--98jzans4lu43rpbcu67dfo1amqu9i4c.com/archives/3393 Tue, 15 Dec 2020 15:45:50 +0000 https://xn--98jzans4lu43rpbcu67dfo1amqu9i4c.com/?p=3393
かなちゃん
親戚のおばさんからハワイ旅行に誘われています。お金が儲かったからというのです。
ゆうとさん
うらやましい。景気のいい話ですね
かなちゃん
過払い金請求でまとまったお金が入ったというのです。100万円以上のお金だそうで驚きました。
ゆうとさん
なるほど。たしかに、過払い金請求では、ご本人が予想もしなかった高額のお金が戻ってくる場合が珍しくないです。
かなちゃん
でも、おばさんは、つい何ヶ月か前まで、毎月借金の返済が大変で、お小遣いもないとぼやいていたばかりなのです。
ゆうとさん
ははあ。そうすると、債務整理にあたって、過払い金請求をしたのでしょう。
かなちゃん
過払い金請求は債務整理と一緒にできるのですか?
ゆうとさん
もちろんです。債務整理の一環として過払い金請求をすることが普通です。また、借金を全て返済してしまった人が、後から過払い金請求を行使することもできるのです。

ここでまず、債務整理には、どのような方法があるのかを、簡単にご紹介していきましょう。

債務整理の5つの方法

ゆうとさん
債務整理には、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産、過払い金請求という5つの方法があります。

任意整理

任意整理は債権者である貸金業者と交渉をして債務の額を減額したうえで分割払いとする合意をする整理方法です。

弁護士や司法書士が債務者の代理人となって貸金業者と交渉を行います。多くの場合、将来の利息をカットして、3年から5年払いの分割払いとする合意でまとまります。ただし、元金のカットまで合意する貸金業者はあまりいません。
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特定調停

特定調停は簡易裁判所の調停委員を仲介役として債権者と交渉を行い、債務額を減額し、やはり3年程度の分割払いとする合意をする整理方法です。

簡易裁判所に申し立てをすれば、裁判所が債権者を呼び出してくれます。特定調停は弁護士や司法書士に依頼せずとも債務者本人が申し立てを行って裁判所を利用できることを目指した制度です。
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自己破産

自己破産は、債務者の財産を処分し、債権者への返済(配当)に充てる代わりに残ってしまった債務の支払いを免除(免責)してもらう法的手続きです。裁判所の強制力のある手続きである点が、任意整理、特定調停と異なります。

債務者の所有する一定額以上の価値のある財産は、全て処分しなければなりませんが、それ以上の債務を支払う必要がなくなるので、強力な最終手段です。
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個人再生

個人再生は、債務が5,000万円以下(住宅ローンなどを除く)であって、反復・継続的に収入を得る見込みのある人が利用できる制度です。

裁判所によって、元金部分までも含めて、債務を大幅に減額した上で、それを3年(特別な事情がある場合は、最長5年)の分割払いとしてもらえる制度です。
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過払い金請求

過払い金請求は、利息制限法の定める上限の利率を超える利息を支払った場合、その支払い過ぎた分、すなわち、「過払い金」の返還を貸金業者に求めることです。これから、詳しく説明します。

過払い金とは?

過払い金とは、簡単に言えば、貸金業者に返し過ぎたお金のことです。払う必要のないお金を払ってしまったのですから、お釣りを間違えて多く渡してしまったのと同じです。そのお金の返還を求めることができるわけです。

では、何故、このような過払い金が発生するのでしょうか?これには、3つの法律の問題が絡む、歴史的な事情があります。3つの法律とは、「利息制限法」、「貸金業法」、「出資法」です。

かなちゃん
法律が3つも出てくるのですか・・難しそうですねぇ・・
ゆうとさん
いいえ。一見、複雑そうですが、話の中身はそうでもありません。まずは聞いて下さい。

利息制限法

利息制限法は、貸付金の元金の大きさ別に、3種類の金利を定めています。

元金の額 利率
10万円未満 年20%
10万円以上100万円未満 年18%
100万円以上 年15%

この利息制限法に違反する利息の約定は違法であり、無効です。しかし、利息制限法に違反しても、刑事罰(罰金や懲役刑)はありません。

貸金業法

貸金業者を規制する「貸金業法」は、旧名称を「貸金業の規制等に関する法律」(2007年まで)といいました。この法律は利息制限法の利率を超えた違法な利息であっても、借主が任意に支払うなら、貸金業者が一定の書類などを交付していることを条件に、有効な利息の支払いとみなすと定めていたのです(これを旧貸金業法43条の「みなし弁済規定」といいます)。

そこで貸金業者は、利息制限法を超える利息をとり、この「みなし弁済規定」が適用されるので、利息を返す必要はないと主張していたのです。

出資法

出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)は、刑罰の規定がない利息制限法に代わって、高すぎる金利を刑罰で禁止する法律です。懲役刑や罰金刑が定められています。

ところが、刑罰が適用される上限利率は、年40.04%(2000年6月まで)、年29.2%(2006年6月まで)という、利息制限法をはるかに超える高い利率でした。したがって、利息制限法に違反しても、この出資法の高い利率より下であれば、何の処罰も受けません。つまり、利息制限法の利率を超えた利息は違法でありながら、出資法の上限利率に達していないため処罰は受けないのです。白ではないが、黒ではないという意味で、「グレーゾーン金利」と言われていました。

貸金業者は、このグレーゾーンであれば処罰されないことから、利息制限法を超えて、出資法の上限金利ギリギリの高い金利を取ったうえ、「みなし弁済規定」の適用により、利息の返還を拒むことができたのです。

かなちゃん
利息制限法という法律があるのに、それを大幅に超える利息をとることが許されていたなんて、おかしな話ですね。
ゆうとさん
今から考えればそうですね。でも、このようなことが長く続くはずはありません。商工ローン問題、多重債務問題が明らかになって、貸金業界は社会の強い非難にさらされました。裁判所も貸金業者に対して厳しい判断を下すに至りました。

最高裁判所は2006(平成18)年1月13日、この「みなし弁済」規定を適用できる条件を非常に厳しく制限する判決を下し、事実上、貸金業者が利息制限法に違反して受け取った利息の返還を拒む途を封じました。これによって、利息制限法を超える利率の利息を受け取った貸金業者は受け取りすぎた利息の返還を請求された場合、これに応じなければならないことになりました。これが過払い金(返還)請求です。

なお、今では、出資法の上限金利は、利息制限法と一致する年利20%に引き下げられ、グレーゾーン金利はなくなりました(2010年6月から)。さらに、貸金業法の「みなし弁済」規定も廃止されました(2010年6月から)。

債務整理と過払い金返還請求

かなちゃん
過払い金請求が認められるようになった理由については分かりました。利息の払い過ぎということですね。そうすると、借金を全部返済したら、利息を払いすぎていたという人に認められる権利なのですか?
ゆうとさん
もちろん、元金も利息も全額支払って、借金を完済した人で、利息制限法違反の利息を支払っていた場合は、理屈上は、必ず過払い金請求権が発生しているはずです。ただし、その場合だけではありません。借金を完済していない方であっても過払い金請求権がある場合があります。
かなちゃん
借金を完済していないのに、払い過ぎということがあるのですか?
ゆうとさん
あります。利息制限法に違反する利率の利息を毎月支払ってきた場合、適法な利率を超える部分は、『払い過ぎ』の部分ですから、いわば毎月の支払いに『過払い金』があったわけです。

毎回の利息支払いで利息制限法を超えた部分(これを「超過利息」といいます)は、払い過ぎの分として「利息」ではなく「元金」の返済に充てられたものと取り扱われます。したがって、超過利息を支払い続けていれば、元金は減ってゆきます。元金が減ってゆけば、計算上、利息金も少なくなりますから、さらに超過利息が増えて元金に充当されてゆき、どんどん元金が減ってゆくという関係になります。このため、利息制限法に基づく正しい利率で計算し直す(これを「引き直し計算」といいます)と、次のようなことが判明します。

  1. 貸金業者が主張している残債務よりも、少ない金額の債務しか残っていない。
  2. 貸金業者は、残債務があると主張しているけれど、計算上、元金も利息もすでに完済されて、借金はなくなっており、必要のない返済を続けていた。

この①の場合は、計算上、正しい残債務額に基づき債務整理をすればよいのです。また、②の場合はもはや債務整理の必要はなく過払い金請求をすることになります。

弁護士や司法書士が任意整理を担当する際には、貸金業者から取引履歴を開示させ、引き直し計算を行って、正しい債務額がいくらなのか、過払い金請求権が発生しているかどうかを明らかにした上で整理を行います。

自己破産や個人再生という手続きを選択しなければならない場合であっても、やはり、引き直し計算をして正しい債務額を確定することが手続きの前提です。特定調停の場合も、簡易裁判所の調停委員が、引き直し計算をして、正しい債務額を算出してくれます。

かなちゃん
なるほど。過払い金請求というのは、完済した人が支払い過ぎた分を請求するものとばかり思っていました。でも、そればかりではないのですね。
債務の有無 過払い金返還請求権の有無
完済している人 過払い金返還請求権が発生している
返済している途中の人 ①貸金業者が主張している残債務よりも、少ない金額の債務しか残っていないケース
(過払い金は元本に充当されている)
②貸金業者は残債務があると主張しているけれど、計算上、元本も利息もすでに完済されて、借金はなくなっており、必要のない返済を続けていたケース
(過払い金返還請求権が発生している)

過払い金請求のメリット

では、これまで説明した点も含めて、過払い金返還請求権のメリットについてまとめて説明します。

支払いすぎたお金が現金で戻る

なんといっても、払いすぎていたお金が現金で戻ってくるということが最大のメリットです。

しかも、過払い金は、本来、貸金業者が債務者に返還しなければならないお金ですので、返金するまでの間の利息(遅延損害金)も支払う義務があります。過払い金の利息は、民法によって年5%の利率と定められています。

過払い金には、所得税がかからない

過払い金は、払いすぎていたお金が戻ってくるだけであって所得ではありませんので、所得税の課税対象になりません。

ただし、上に説明した過払い金の利息(年5%)は雑所得として課税対象となります。また、債務者が払い過ぎであった超過利息をその支払った年度において経費として計上していた場合は経費が戻ってきたのですから、その年度の申告を修正する必要があります。

返済中の人は借金の減額または借金がゼロになる

先に説明しましたとおり、引き直し計算によって過払い金請求権の有無を調査することは全ての債務整理における大前提です。

引き直し計算の結果、過払い金請求権が発生していることが判明すれば、少なくともその債権者についてはもはや債務整理の必要はありません。また、超過部分が元金の支払いに充当される結果、債務額の減少が判明する場合もあります。

完済している場合ブラックリストにはならない

債務を完済している人が、過払い金請求をしても、ブラックリストにはのりません。

ブラックリストとは俗称で信用情報機関に登録される事故情報をいいます。例えば、自己破産、個人再生、弁護士や司法書士による債務整理、延滞などの情報が登録されます。事故情報が登録されると、登録期間である5年から7年の間は、金融機関から新規の融資を受けたり、クレジットカードでのキャッシングや分割払いでの買い物をしたりすることは、事実上、困難となります。

しかし、過払い金請求は、当然の権利の行使であって、延滞や自己破産とは全く異なります。このため過払い金請求をしても信用情報に登録されることはありません。ただし、債務を返済している途中の人が債務整理を行い、債務がゼロであることが判明すると共に、過払い金請求権があることも判明し、これを行使したという場合は当初の債務整理開示の段階で「債務整理」として登録されてしまいます。過払い金請求権の存在が判明した段階で、この登録は抹消されるべきであり、そのように対応する貸金業者もありますが、そのまま放置してしまう業者もいるようです。登録が放置されないように、事後に信用情報の開示を信用情報機関に求め、登録されたままであった場合は貸金業者へ抹消を要求する必要があります。

保証人への影響はない

完済ずみの場合は既に債務は消滅しており、保証人の責任も消滅しているので、保証人には何の影響もありません。過払い金請求権を貸金業者へ行使しても、保証人にはまったく迷惑はかかりません。返済途中の場合も引き直し計算の結果、債務がゼロであることが判明したうえ、過払い金請求権があることが判明した場合は、保証人の義務も消滅していますので、やはり保証人には影響がありません。

返済途中で、引直計算の結果、債務は残るものの、債務額が減少することが判明した場合は保証人の責任も減少した金額の範囲内に限定されます。したがって、保証人の責任は軽くなることはあっても、より重くなることはありません。

過払い金を請求する債権者を選べる

自己破産、個人再生では特定の債権者を選んでその債務だけの処理を行うということはできません。全債権者について裁判所に届け出なくてはなりません。

しかし、過払い金請求は権利の行使ですから、どの貸金業者へ請求するかは自由に選ぶことができます。

資格制限はない

自己破産の場合は、免責を受けるまでは、会社の取締役、弁護士、税理士、宅地建物取引士、警備員、パチンコ店店長など一定の職業につく資格を制限されます。しかし、過払い金請求権の行使しても、このような資格制限を受けることは一切ありません。

借金をした理由は問わない

自己破産では、ギャンブルや浪費によって過大な債務を負担した場合は、免責を受けられない場合があります(免責不許可事由)。しかし、過払い金請求には、もともとの債務を負うに至った理由、原因は全く関係がありません。

官報に掲載はされない

自己破産と個人再生は、その手続きをしたことが官報に掲載されます。しかし、過払い金請求は、例え正式に裁判所で訴訟を起こしたとしても、官報に掲載されることがありません。

過払い金返還請求のデメリット

では過払い金返還請求のデメリットについてもまとめてみます。

10年で権利が時効消滅してしまう

過払い金請求権は10年間経過すると時効で権利が消滅してしまいます。この時効期間のスタートは貸金業者との「取引が終了した日」と理解されており、通常は「最後の借入日」又は「最後の返済日」ということになります。

ただし、過払い金請求権の時効期間のスタートについては、多くの法律問題が存在しているので、一律には論じられません。ご自分で10年経過してしまっているから駄目だと素人判断することは禁物です。必ず、専門家である弁護士、司法書士の判断を仰ぐべきです。

引き直し計算をしてみないと過払い金があるかどうかは分からない

過払い金請求権の有無は、取引履歴に基づいて、引き直し計算をしてみなければわかりません。

超過部分を支払ってきた方が完済している場合は、過払い金が発生しているはずですが、これも確かなことは取引の経過を調査し計算をしてみないことにはわかりません。まして、返済途中の方の場合はきちんとした調査なしに、見通しをつけることはできません。

返済途中の方はブラックリストに登録されてしまう危険性がある

先ほども説明したとおり、債務の返済中に債務整理を始め、過払い金請求権が判明した場合、債務整理の事実が信用情報に登録され、そのまま放置されてしまう事実上の危険があります。

弁護士、司法書士の費用がかかる

過払い金返求権の調査及び権利の行使は、実際上、法的知識のない一般の方が行うことは難しく、法律の専門家である弁護士、司法書士に依頼する必要があります。このため、弁護士費用、司法書士費用がかかります。

かなちゃん
もともと、支払う必要のなかったお金なのに、時効で返してもらえなくなるなんて、ひどい話ですね。
ゆうとさん
そうですね。しかし、法律で決まっていることですから、こればかりは仕方がありません。心当たりのある方は、できるだけ早く専門家に相談するべきです。

過払い金請求を検討すべき人とは

では、最後に、過払い金請求を検討するべき人とはどのような方か説明します。

債務整理をする方(債務整理の前提として)

自己破産、個人再生、任意整理という方法の如何を問わず、弁護士や司法書士に債務整理を依頼すれば、必ず過払い金の有無を調査、検討してくれます。過払い金があることが判明したら、その回収を依頼しましょう。

多くの場合、貸金業者との交渉で回収が可能です。また、貸金業者が応じない場合でも、訴訟を提起することで、支払いに応じる場合が大部分です。

特定調停を申し立てた場合も、簡易裁判所の調停委員は、貸金業者に開示させた取引履歴から、引き直し計算をして、過払い金の有無を調べてくれます。ただし、過払い金があった場合でも、裁判所は請求まではしてくれないので、別途、弁護士や司法書士を依頼する必要があります。

長期間、貸金業者に返済をしてきた方

長年、超過部分を支払い続けていた方は、過払い金が発生している可能性が高いことになります。

特に、出資法、貸金業法が改正され、グレーゾーン金利がなくなった2006年以前から取引を継続していた方は、超過部分を支払っており、過払い金が発生している蓋然性が高くなります。

まとめ

かなちゃん
過払い金について、詳しいことがわかりました。過払い金請求をして、支払い過ぎたお金を返してもらうのは当然の権利なのですね。
ゆうとさん
そうです。お金を借りていた業者に対して、返済したお金を戻せというのは、一般の方にとっては勇気のいることのように思われますが、最高裁の判決以来、たくさんの方々が過払い金の返還を受けていることを忘れないでください。そして、ご自分の正当な権利が時効で消滅してしまう前に弁護士や司法書士に相談してみることをお勧めします。

各債務整理のメリットとデメリット

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個人再生とは?メリットとデメリットをわかりやすく解説します https://xn--98jzans4lu43rpbcu67dfo1amqu9i4c.com/archives/3368 Tue, 15 Dec 2020 13:59:44 +0000 https://xn--98jzans4lu43rpbcu67dfo1amqu9i4c.com/?p=3368
かなちゃん
兄が借金で悩んでいます。
ゆうとさん
どうしたのですか?
かなちゃん
兄は、サラリーマンなのですが、ベンチャー企業を興した友人が開業資金を銀行から借り入れしたときに、その連帯保証人になっていたのです。ところが、その企業は倒産して、友人も逃げてしまったのです。
ゆうとさん
大変ですね。連帯保証人である以上、本人に代わって支払う義務があります。
かなちゃん
でも、兄の収入では、とても支払い切れそうにない金額なのです。
ゆうとさん
いっそ自己破産をしてしまって、やり直すことを検討する必要があるかもしれません。
かなちゃん
でも、兄はつい何年か前に銀行の住宅ローンを組み、念願のマイホームを買って喜んでいたばかりです。自己破産をすると、家は手放さなければならないのでしょう?
ゆうとさん
自己破産では債務の支払い義務を免れる代わりにマイホームは諦めなければなりません。
かなちゃん
やっぱり・・・。
ゆうとさん
お兄さんのような場合には、個人再生をおすすめできます。マイホームを失わなくて済む方法です。
かなちゃん
個人再生という言葉は聞いたことがありますが、詳しくは知りません。どのような制度なのですか?
ゆうとさん
では、これから個人再生について説明します。他の債務整理と比較して、どのようなメリット・デメリットがあるかという話になりますので、他の債務整理について、一応の基礎知識を持っておいてください。

債務整理の5つの方法

ゆうとさん
債務整理には、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産、過払い金請求という5つの方法があります。

任意整理

任意整理は、債権者との話し合いで、債務の減額や分割払いを合意するものです。弁護士や司法書士が代理人として債権者と交渉する場合、利息制限法所定の利率による引き直し計算をした上で、将来の利息は免除してもらい、3年から5年程度の分割払いで話がまとまる例が多いです。

個々の債権者の同意が必要ですから、債務の元金部分まで減額してもらうことは通常は困難です。
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特定調停

特定調停は、簡易裁判所の調停委員が債権者との話し合いの仲介をしてくれる制度です。弁護士や司法書士を依頼せずとも、債務者本人だけでも利用できる手続きを目指しています。

特定調停の申立てをすると、裁判所が債権者を呼び出して、取引履歴など資料の提供を受け、引き直し計算をした上、分割払いなどの話し合いのあっせんをします。やはり、将来の利息をカットして、3年間の分割払いを目指す運用がなされています。

話し合いの仲介ですので、最終的には、債権者との合意が必要なことは任意整理と同じです。
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個人再生

個人再生とは、裁判所に債務の減額と分割払いを認めてもらう手続きです。元金部分のカットも含めた大幅な減額も認められます。分割払いは、原則3年間で特別な事情があれば5年間まで延長できます。

また、住宅ローンがある場合、他の債務と区別して住宅ローンだけは特別扱いとできます。住宅ローンの債務は減額せずに、これまでどおりの支払いを続けて、住宅が競売にかけられることを回避できます。

個人再生の詳しい内容は後に紹介します。

自己破産

自己破産とは、債務者の資産は原則として処分し、金銭にかえて債権者へ配当し、支払いきれなかった残債務は免除するという裁判所の手続きです。財産を差し出す代わりに返済の責任はなくなるので、最も強力な債務整理です。
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過払い金請求

過払い金請求は、利息金が利息制限法所定の利率を超えていた時に支払い過ぎていた金銭の返還を請求するものです。

現在では、どの債務整理方法をとろうとも、利息制限法所定の利率に引き直した計算をして法的に正しい債務額を確定することが大前提です。その結果、過払い金があるなら、それを回収して各手続を進めます。

ただし、特定調停では調停委員は過払い金返還請求の存否は調査しますが、してくれるのはそこまでであり、返還請求までは担当してくれません。返還請求は別途の手続をとる必要があります。
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かなちゃん
債権者との話し合いのうち、弁護士や司法書士が直接に債権者と交渉してくれるのが任意整理で、債務者本人が簡易裁判所を介して交渉するのが特定調停ですね。

これに対し、話し合いではなく裁判所が主導する法的手続が個人再生と自己破産ですね。

ゆうとさん
大きく分けると、そう考えてよいでしょう。過払い金返還請求は完済して、もはや債務整理の必要がない人でも返還請求権が発生しているケースがあるわけですから、債務整理の場合に特有の問題ではないと言えます。
かなちゃん
5つの債務整理方法はわかりました。そのうち、個人再生の中身を詳しく教えてください。
ゆうとさん
では、個人再生を説明しましょう。個人再生を理解するには、破産との違いからスタートするとわかりやすいのです。
かなちゃん
破産との違いですか。自己破産は財産を差し出す代わりに残った借金を免除してもらう制度と説明されていましたね。
ゆうとさん
そのとおりです。それを頭においていてください。

「破産」と「民事再生」と「個人再生」

企業救済を目的とした民事再生

ゆうとさん
例をあげましょう。A社はその会社にしかできない特別な技術を持っていました。

しかし、分野の異なる事業にも手を伸ばして失敗し多額の負債を背負って倒産の危機に瀕しています。もしも、会社が破産をするとどうなるでしょう。

かなちゃん
A社の財産を全部吐き出して、終わりですか。
ゆうとさん
そうです。会社の財産を処分して、お金にして、債権者に配って、会社は消滅します。でも、それって、もったいなくないでしょうか。
かなちゃん
もったいない?
ゆうとさん
A会社は全体としてはもはや経営を継続できない収支となってしまっています。しかし、もともとの本業にはその会社にしかない技術という強みがあり、かなりの収益力があるのです。

にもかかわらず、破産させてしまうと今ある資産の配当が終われば、債権者はもう何も得ることができません。

かなちゃん
その会社の強みを生かして、今後も稼いでもらったほうが良いということですね。
ゆうとさん
そうです。借金を減額した上で分割払いを認めます。会社の経営は続け、本業の強みを活かして収益を上げて返済をしてもらいます。こうすれば、債権者としては破産で終わってしまうよりも、より多くの返済を受ける可能性があります。

また、収益を上げ得る企業が継続することは経済社会全体の利益にもなることです。

かなちゃん
なるほど。

民事再生の個人版が個人再生

このような趣旨から主に中小企業の債務整理の方法を定めたものが「民事再生」制度です。今では、中小企業だけでなく、大企業からも積極的に利用されるほど活用される制度となっています。

この「民事再生」制度は、このように、もともと企業の再生を目的とするものでしたので、手続き内容が複雑です。そこで、この手続きを個人でも利用しやすいように整備した制度が「個人再生」という制度なのです。

小規模個人再生と給与所得者等再生とは?

かなちゃん
「個人再生」という制度が定められた目的は、とてもよくわかりました。次は、制度の中身を教えてください。
ゆうとさん
「個人再生」という制度の中には「小規模個人再生」という制度と「給与所得者等再生」という制度の二つの制度があります。
かなちゃん
小規模??給与所得等??なんだか、いかめしい名前で、気後れがしますね。
ゆうとさん
そう。名前だけではピンときませんね。でも制度の大枠を知れば、難しくはありません。

小規模個人再生

小規模個人再生から説明します。個人事業主のように、反復・継続して収入を得ている個人の債務を整理する手続きです。

債務額が5,000万円以下(抵当権がついている債務は除きます)の場合に利用できます。借金を大幅に減額して、それを原則3年間(特別な事情がある場合は5年間)の分割払いとする制度です。

債権者の利害に関わりますので、債権者の過半数(債権者数の過半数と債権額の過半数)が反対していないことが条件となります。逆に言えば、債権者の反対があっても、過半数に満たない場合は強制的に減額と分割払いを認めてもらえるのです。

給与所得者等再生

小規模個人再生は、分割払いをする制度ですから、分割弁済を確実に最後まで実行できるよう、反復継続した収入を得ていることが条件とされていました。

その反復継続する収入がサラリーマンの給料のようにより安定したもので、金額が変動する幅も少ない場合は分割払いを最後まで実行できる可能性はより高いものといえます。

そこで、この場合は通常の小規模個人再生とは異なる特別の場合として、債権者の反対の有無にかかわらず、裁判所の判断だけで債務の減額と分割払いを認めることができることにしました。これが給与所得者等再生です。

個人再生で減額される金額

では、個人再生ではどれくらいの金額が減額されるのでしょうか。小規模個人再生では分割払いで支払わなければならない総額を決める基準が2つあります。

一つは「最低弁済額」といいます。これは借金の金額に応じて機械的に法律が定めています。例えば、借金500万円の場合は100万円、借金1500万円の場合は300万円というように金額が決まっているのです。

もう一つは「清算価値保障原則」といいます。簡単にいうと、債務者の財産を処分したと仮定した場合の金額です。もしも破産をした場合には財産を処分して債権者に配当しなければなりません。それを下回る金額しか弁済されないとなると、債権者としては破産してもらったほうがましだということになってしまいます。

個人再生は債務者に対し財産の処分を要求しないのですから、その代わりに、もしも財産を処分したとしたら債権者に配当できたと予想される金額は最低限、支払わせることにしているのです。

法律で定められた「最低弁済額」と、債務者が破産をしたら処分しなければならない財産の価値(清算価値)とを比較して、より高い方の金額が分割弁済しなければならない総額となります。

ところで、給与所得者等再生においては反復継続する収入がより安定して変動幅も少ないことから、分割弁済を実行できる可能性がより高いものとして、債権者の反対の有無を問わず裁判所が個人再生を認めることができるとされていました。債権者が反対をしても、債務の減額が認められる以上、小規模個人再生の場合よりも債権者の利益を守る必要があります。

そこで、給与所得者等再生においては、分割弁済をしなければならない金額を決める基準として第3の基準が加えられています。申立人の2年分の可処分所得以上の金額を3年間の分割で支払うという基準です。可処分所得とは、債務者の収入から生活維持に必要な金額を差し引いた残りの金額であり、その具体的な計算方法は政令で定められています。

給与所得者等再生では、前述の「最低弁済額」、「清算価値保障原則」、「2年分の可処分所得」という3種類の金額を比較して、一番高い金額が分割弁済しなければならない金額ということになります。

住宅ローン特別条項とは?

個人再生を利用する場合、小規模個人再生であっても、給与所得者等個人再生であっても、住宅ローンだけは特別扱いをすることができます。

個人再生は債務を減額して分割払いをする制度です。しかし、債務者の家が金融機関からの住宅ローンで購入したもので、ローンを担保する抵当権がついている場合、約定どおりに返済しない限り、抵当権を実行されて、競売にかけられてしまいます。それでは、債務者は生活の本拠を失うことになり、経済的再生が困難となってしまいます。

そこで、住宅ローンは他の債務と切り離すことが認められます。他の債務は減額して分割払いを行います。住宅ローンだけはこれまでと同様の支払いを続けます。これにより、競売にかけられずに住宅を確保することができるようにした制度、それが「住宅ローン特別条項」制度です。

この場合、金融機関と協議をして、最終の返済期限を延ばしてもらう(リスケジュール)とか、すでに延滞になっている場合に延滞がなかったものとして取り扱ってもらう(巻き戻し)などの特別の措置を講じてもらうことも可能です。

個人再生を選択するべき人とは

かなちゃん
個人再生の中身がわかりました。
ゆうとさん
ここで、どのような人が個人再生を選ぶべきかを簡潔にまとめておきます。

債務の元金を圧縮したい方

任意整理の場合は、将来の利息はカットできても、元金部分のカットは、通常、債権者の同意が得られません。

しかし、個人再生であれば、債務の元金部分までカットすることができます。

財産を処分したくない方

自己破産では、債務者の財産は処分されて、債権者の配当に充てられます。

しかし、個人再生であれば、財産の処分は要求されません。不動産、高級車、宝石・貴金属、有価証券など、高額の財産を処分したくない場合、これを維持することができます。

住宅だけは残したい方

自己破産では、住宅ローンだけを特別扱いすることはできませんから、家は処分されるか、競売にかけられてしまいます。

しかし、個人再生であれば、住宅ローン条項を利用することによって、 住宅を残せる可能性があります。

免責不許可事由がある方

自己破産では、ギャンブルや浪費によって過大な債務を負担した場合、免責不許可事由があるとして、最終的な責任免除(免責)を得ることができない場合があります。

しかし、個人再生であれば、借金の原因を問いません。ギャンブルや浪費による債務にも手続きを利用できます。

ただし、個人再生は、債務を減額して分割払いを行う手続きですので、確実に今後の分割払いができるかどうかが審査されます。したがって、個人再生を申し立てた時点では、もはやギャンブル癖や浪費壁は治っており、今後は分割払いが可能であるという状態になっている必要があります。

個人再生のメリット

大幅減額が可能

元金部分にまで踏み込んだ、 大幅な債務額カットが可能です。例えば、小規模個人再生を用いた場合で、債務者が格別の資産を有していない場合は、最低弁済額のみが基準になります。単純化した金額例を挙げると次のとおりになります。

  • 借金額が100万円以上から500万円未満の場合 100万円に減額
  • 借金額が500万円以上1500万円未満の場合 借金額の5分の1に減額
  • 借金額が1500万円以上3000万円未満の場合 300万円に減額
  • 借金額が3000万円以上 5000万円以下の場合 借金額の10分の1に減額

資産を処分しなくてもよい

財産を処分されてしまう自己破産と比べて、個人再生の場合は資産の処分は不要です。

債権者の同意が不要

任意整理と特定調停では、各債権者の同意が必要です。しかし、個人再生では、各債権者の同意は不要です。小規模個人再生においては、債権者の過半数が積極的に反対しない限り、個人再生が認められます。給与所得者等再生の場合は、債権者の反対の有無は無関係です。

住宅ローン特則が使える

自己破産では、所有する不動産を失うことになります。しかし、個人再生では、住宅ローン特則を使うことによって、住宅を維持することができます。

資格制限がない

自己破産では、免責されるまでの間は、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、会社の取締役、宅地建物取引士、警備員、パチンコ店店長などの一定の職業に就くことはできません。しかし、個人再生には、職業制限はありません。

免責不許可事由があっても大丈夫

自己破産の免責不許可事由と異なり、個人再生では借金の原因は問題となりません。ただし、前述のとおり過去に浪費などがあった場合は、将来の分割払いが実行可能かどうかという観点から今は悪い癖が治っているのか否かをチェックされます。

個人再生のデメリット

全債権を平等に扱う必要

任意整理と特定調停では、債権者と交渉を行う債務を自由に選ぶことができます。例えば、教育ローンは、そのまま支払い続けるけれど、ショッピングのローンについては債務整理をしたいという方法をとることが可能です。

しかし、裁判所による法的手続きである自己破産と個人再生では、 全ての債権を平等に取り扱わなければならず、一部の債権のみを裁判所に届け出るというような扱いは許されません。

個人再生においては、住宅ローンだけは特別扱いが許されますが、これも住宅ローン特別条項を適用してもらうよう裁判所に申し立てをすることによって認められる例外です。

財産以上の支払いが必要

個人再生では、仮に破産した場合に、債務者の財産が処分されて、債権者の配当に充てられる金額以上の額を弁済するという清算価値保障原則があります。したがって、債務者に、高額の資産がある場合には、支払わなければならない総額が高くなってしまう可能性があり、その分メリットが薄くなります。

例えば、借金の額が500万円の時には、最低弁済額は100万円なので、借金の額を400万円も減額することができます。しかし、もしも300万円の資産を持っているとしたら、300万円が支払い総額の下限となりますので、200万円しか減額できないことになるわけです。

ブラックリストに登録される

個人再生申立を行うと、信用情報機関のデーターに登録されます。いわゆるブラックリストです。金融機関は、信用情報機関のデーターに基づき融資の審査を行うので、ブラックリストに登録されると新たに融資を受けることは困難です。住宅ローンや自動車ローン、携帯電話やスマートフォンの分割払購入、クレジットカードの新規発行等はできません。

日本には、3つの信用情報機関があります。①株式会社日本信用情報機構(JICC)、②株式会社シー・アイ・シー(CIC)、③全国銀行個人信用情報センター(一般社団法人全国銀行協会JBA)です。個人再生の事実が登録される期間は、JICCとCICは5年間、全国銀行個人信用情報センターは10年間です。

もっとも、このような不利益は任意整理でも自己破産でも同じです。特定調停の場合も約定どおりの弁済をしていなければ、やはり同じです。したがって、ブラックリストに登録されることは個人再生だけのデメリットではありません。

官報へ掲載される

個人再生手続をしたことは官報に掲載されます。官報は誰でも見ることができますが、実際上、普通の方が官報を読むということは、まずありませんから、個人再生を周囲に知られる危険性はほとんどないのです。また、官報に掲載されるのは自己破産も同じです。

保証人に影響が及ぶ

個人再生によって、債務が減額され、分割払いが認められても、それは債務者本人だけに及ぶ効力です。保証人には個人再生の効力は及びません。むしろ、減額されたことから、債権者は保証人に請求をすることになります。これを避けることはできません。したがって、個人再生の手続を行う場合は保証人に迷惑が及んでしまうことを前提として、できれば事前に、保証人に事情を説明しお詫びをして十分な理解を得ておくべきです。

まとめ

ゆうとさん
個人再生の大きな枠組みを理解することができたと思います。
かなちゃん
個人再生は債務者が財産を維持することを認めてやる代わりに、破産した場合以上の弁済を分割でさせて、債権者にも利益を与える制度ということですね。
ゆうとさん
そうです。借金を減額すると言うと、一方的に、債務者だけが利益を得るように思えてしまいます。しかし、そうではなく、債務者が経済的に立ち直ることによって、債権者にもメリットがあるのだという考えが制度の根底にあるのです。

ただし、債権者に不利益があることも確かですから、個人再生が認められる条件は厳しいものになっています。

かなちゃん
大枠は理解できましたが、実際の裁判所への申立て手続きは、さらに勉強しなくてはなりませんね。
ゆうとさん
そのとおりです。個人再生は企業を対象とした民事再生の手続きを個人用に簡略化したものです。

しかし、それでも、とても複雑な法制度であり、一般の方が自力で申立て手続きをすることは事実上困難です。 専門家でも十分な知識と経験がなければ、代理人を引き受けることはできません。

個人再生を検討するのであれば、必ず個人再生を得意とする弁護士、司法書士に相談してください。

各債務整理のメリットとデメリット

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特定調停とは?メリットとデメリットをわかりやすく解説します https://xn--98jzans4lu43rpbcu67dfo1amqu9i4c.com/archives/3275 Fri, 11 Dec 2020 13:55:31 +0000 https://xn--98jzans4lu43rpbcu67dfo1amqu9i4c.com/?p=3275
かなちゃん
ブランドのお洋服やバッグを買っていたら、いつの間にか、いくつものクレジットカード会社から請求が重なってしまい、お給料では毎月の返済ができなくなりそうです。
ゆうとさん
典型的な多重債務ですね。できるだけ早いうちに債務整理をするべきです。そのまま放置して滞納すると、裁判を起こされて、給与が差し押さえられるなど、大変なことになります。
かなちゃん
でも、債務整理って、弁護士さんに依頼しなくてはならないでしょう?弁護士費用って、高いのでは?とても支払えません。
ゆうとさん
弁護士を頼まなくても、本人だけでできる債務整理の方法もあります。特定調停という制度です。
かなちゃん
特定調停ですか。どんな制度なのですか?
ゆうとさん
では、これから、特定調停の内容と、そのメリット、デメリットを紹介してゆきます。その前に、他の債務の整理方法も知っておいて下さい。特定調停のメリット、デメリットは、他の債務整理方法と比較することでよくわかるからです。

債務整理の5つの方法

ゆうとさん
債務整理には、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産、過払い金請求という5つの方法があります。

任意整理

任意整理は貸金業者などの債権者と交渉をする整理方法です。交渉によって、合意に達すれば、その内容を記載した合意書を作成します。利息が高い場合は、利息制限法に定められた利率に基づいて、法的に正しい金額を計算し直します(これを「引き直し計算」といいます)。

合意する内容は事案によって千差万別ですが、債務額を減額し、総支払額を確定し、将来の利息は免除したうえで、3年から5年程度の分割払いでまとまるケースが多いです。債務者がプロの貸金業者を相手に交渉をすることは難しいですから、弁護士や司法書士を代理人とするのが通常です。
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特定調停

特定調停は簡易裁判所の調停手続を利用して行う、債権者との話し合いです。裁判所の調停委員が、債務者と債権者の間に入り、仲介役として、交渉を進めてくれます。債務者本人が自分で利用することを想定した制度です。詳しいことは、あとで説明します。

個人再生

個人再生とは債務総額の一部を分割払い(原則は3年払い)することで、残額が免除されるという扱いを裁判所に認めてもらう手続です。債務者が完全に破綻してしまう前に、裁判所が関与する手続によって、債権者間の平等を確保しつつ、債務カットを認めることで、債務者が自力で経済的に再生する手助けをする制度です。

個人再生は2つの種類があります。

一つは主として個人商店主などの小規模事業主を対象とする「小規模個人再生」です。債務総額が5,000万円以下(税金等を除く)で、将来にわたり継続的に収入があることが条件です。

もう一つは主としてサラリーマンを対象とする「給与所得等再生」です。収入が給与などの定期的な収入で、その金額が安定している場合に利用できる手続です。

いずれの場合も、住宅ローンがある方は住宅資金貸付債権に関する特則(住宅ローン特別条項)という特別な制度が利用できます。これは住宅ローンだけを他の債務と切り離し、減額の対象としない代わりに、例えば他の債務を分割弁済している3年間の間は、住宅ローンの元金部分の返済を猶予してもらうなど、返済期間のリスケジュースを可能とするものです。債務整理をしつつ、住宅を確保することができます。

個人再生はとても複雑な制度なので、一般の方だけで申立をすることは事実上、無理です。必ず個人再生を得意とする弁護士、司法書士に依頼するべきです。
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自己破産

自己破産とは裁判所によって債務の支払いを免除してもらう手続です。債務整理の中では、もっとも強力な効果があります。その反面、一定額以上の価値がある財産はすべて処分され、債権者への配当に充てられます。

また、ギャンブルや浪費が、過大な債務負担の原因となっている場合など、免責不許可事由がある場合は、免責されないケースもあります。自己破産も法的知識が必要な手続です。やはり専門家である弁護士や司法書士に依頼するべきでしょう。
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過払い金請求

過払い金請求は利息制限法所定の利率を超えていた利息金の返還を請求するものです。

利息制限法を超える利息をとることは違法ですから、債務整理の方法がどれであれ、正しい利率で計算し直した金額を前提として、債務整理が行われます。過払い金の存在が判明すれば、任意整理では、弁護士や司法書士が、貸金業者に返還請求をします。自己破産や個人再生の場合は、破産申立前に回収して、手続費用などに充て、残りは資産として裁判所に報告することになります。
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かなちゃん
債務整理にも、こんなに種類があるのですね。私は、自分でできる特定調停を選ぶことになるのですか?
ゆうとさん
そう急がないで。まず、特定調停について、もっと詳しく説明しましょう。

特定調停とは?

特定調停とは多重債務のように支払不能となりそうな債務等について簡易裁判所が債権者と債務者の話し合いの間に立ってくれる制度です。

特定調停制度は債務者の経済的再生のために利害関係の調整をする制度とされています。つまり、債務者が経済的にやり直すことを支援する制度なのです。弁護士などの代理人を依頼しないで、債務者本人だけで申立をすることを前提とします(もちろん、弁護士などの代理人による申立も可能です)

申立されると、簡易裁判所は債権者を呼び出します。そして、調停委員が当事者から提出された債権債務に関する資料をもとに、利息制限法の利率に基づく引直し計算を行い、支払うべき債務総額を算出します。さらに、債務者から生活状況、家計状況等を聴取し、毎月の返済可能金額を検討し、今後の返済計画案を立てます。通常は、将来利息はカットして、支払総額を確定し、それを3年間の分割払いとする案を作成します。

この返済計画案をもとに債権者側と交渉し合意に達すれば、その内容を調停調書として作成します。これで調停成立です。あとは、この調停内容にしたがって、分割払いをしてゆきます。

かなちゃん
なるほど。裁判所が債権者との話し合いに協力してくれるわけですね。それなら心強いです。弁護士さんなどを依頼しなくても良いなら、やっぱり私は特定調停を選ぶことになりますね。
ゆうとさん
たしかに、弁護士などの費用がかからない点は言うとおりですが、特定調停を選ぶ基準はそれだけではありません。次に、どんな人が特定調停を選ぶべきかをまとめておきます。

特定調停を選択するべき人とは?

返済計画を立てられる方

免責によって債務の支払一切を免れてしまう自己破産とは異なり、特定調停はあくまでも債務の支払いを目的とするものです。したがって、実行可能な返済計画案を立てられることが前提です。今後の収入の見込みがない方、見込みはあっても債権額が過大に過ぎる方は自己破産を検討するべきです。

不動産を所有している方

不動産を所有している方は自己破産では資産を処分して債務者への配当に充てることになります。資産を保有したまま債務整理を行いたい場合は特定調停が選択肢のひとつとなります。

費用を節約したい方

弁護士を代理人とする任意整理は弁護士費用がかかります。これを節約したい方は、債務者本人が、自分で手続をできる特定調停制度を選択することになります。

強制執行を受けている方

給与の差し押えなど強制執行を受けている場合、特定調停を利用すると、裁判所の判断で強制執行の効力を停止してもらえる場合があります。詳しくは、後で説明します。

かなちゃん
ああそうか。いくら費用が安い債務整理でも返済できる見込みがなければ意味がないですね。肝心な点を忘れていました。
ゆうとさん
もちろん、債務整理にかかる費用は利用者にとって大きな問題です。しかし、それだけでなく、各方法のメリット、デメリットをきちんと理解して選択しなくてはいけません。

特定調停のメリット

(1)借金の原因を問わない

自己破産の場合、過大な債務の原因がギャンブルや浪費の場合など、免責不許可事由にあたるケースでは免責を受けられない可能性があります。他方、特定調停では借金がどのような原因で生じたかは問題となりません。

(2)経費が安い

特定調停は債務者本人が弁護士費用をかけずに本人自身で申し立てることができる制度を目指しています。経費は債権者1社につき、収入印紙代500円と予納郵券(切手)420円だけです(東京簡易裁判所の場合)。

(3)相手となる債権者を選ぶことができる

複数の債権者が存在する場合、自己破産や個人再生では全ての債権者を裁判所に届け出なければなりません。しかし、特定調停では調停手続を利用して話し合いを行う相手を複数の債権者の中から選ぶことができます。つまり、どの債権者に対して特定調停を申し立てるかは債務者が自由に選択できるのです。このため、一部の債権者に対しては従来どおりの支払いを続けたいが、他の債権者については支払方法や支払時期を協議し直したいというケースでは特定調停を利用することになります。

(4)官報に記載されない

自己破産や個人再生は手続を行ったことが官報に掲載されます。一般の方が官報を読むことはまずありませんから、手続の事実が周囲の人に知られる危険は事実上ないと言えますが、理屈の上ではその危険を否定できません。これに対して、特定調停を利用しても官報に掲載されることは一切ありません。

(5)保証人に迷惑がかからない

自己破産や個人再生の効力は申し立てをした債務者本人にのみ及びます。保証人の責任には影響がありません。むしろ、本人の責任が消滅したり、減額されたりすることから、債権者は保証人から取り立てとするでしょう。したがって、保証人には迷惑がかかってしまうことになります。他方、特定調停で成立した内容は債権者も合意をした内容であるため、その効力は保証人にも及びます。例えば、債務が減額されれば、保証人の債務額も減少するのです。合意した分割弁済のとおりにきちんと返済をすれば、債権者が保証人に請求をすることもなく、保証人に迷惑をかけることは一切ありません。

(6)差し押えを停止できる

弁護士に依頼をして任意整理を行なう場合でも、債権者から給料や預貯金などの差し押えを受けているときには、差し押えを解除する執行停止申立という別途の法的手続をとることになります。これは債務整理とは別に弁護士に依頼する必要があり、弁護士費用も別途必要になります。また、この執行停止申立は、担保として、裁判所に金銭を預けることが必要になります。このため、借金返済で苦しんでいる債務者が差し押えを停止することは事実上は困難です。
ところが、特定調停を利用すると、弁護士に依頼せず担保も不要で差し押えを止めることが可能です。特定調停制度では差し押えを受けたままでは合意が難しいとか円滑な進行が困難になるなどと認められる場合には、裁判所の判断で差し押えを停止することができるのです。

かなちゃん
保証人に迷惑がかからないというのは大きなメリットですね。
ゆうとさん
これは債権者側が調停内容に同意することに基づく効力なのです。ですから、任意整理でも債権者との合意ができれば、その効力は保証人に及びますので、やはり迷惑をかけることはありません。

特定調停のデメリット

(1)手続を自分で行う必要

特定調停は本人だけで申立てができることを予定した制度です。申立の費用も安く抑えられており、法的知識がない方でも書き込むだけで申立てができる書式が裁判所に用意されています。調停期日には調停委員が債務者の事情を細かく聞いて返済計画を立ててくれます。しかし、弁護士を依頼しての任意整理と異なり、申立てを行い、裁判所に出頭し、裁判所から指示された資料等を提出することなど、自分で手間暇をかけなければなりません。

(2)強制力はない

特定調停はあくまで話し合いです。調停委員は返済計画案を作成して、債権者と交渉をしてくれますが、押し付けることはできません。債権者が拒否すれば、調停は不成立となってしまいます。また、裁判所からの呼び出しに応じない債権者もいます。呼び出しに応じない場合は5万円の過料という制裁がありますが、低額なので、効果は期待できません。

(3)過払い金返還請求は別の手続となる

特定調停では当事者から提出された資料に基づいて、裁判所が利息制限法所定の利率に基づく引き直し計算をして、正しい債務額を算出してくれます。引き直し計算によって、逆に過払い金返還請求権があることが判明するケースは珍しくありません。任意整理であれば、代理人である弁護士、司法書士が、直ちに過払い金返還請求の交渉を開始し、債権者が応じなければ訴訟手続を進めてくれます。しかし、特定調停は債務返済の話し合いの場なので、過払い金返還請求権が判明しても返還請求の手続をしてくれるわけではありません。過払い金返還請求は特定調停とは別に弁護士、司法書士に依頼しなくてはなりません。

(4)ブラックリストに登録される

銀行や信販会社が顧客と契約をする際には、信用情報機関に登録された信用情報データをもとに審査を行います。国内には株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センター(一般社団法人全国銀行協会JBA)という3つの信用情報機関があります。特定調停制度の利用それ自体は登録事項ではありません。
しかし、特定調停での債務整理を行う場合は、通常、調停がまとまるまでの間、約定の返済をストップしますし、調停がまとまれば、以後、約定と異なる新たな条件での返済が始まることになります。これらはいずれも債務の返済にかかわる事故情報として登録されます。いわゆるブラックリストです。登録されている期間は5年間です。登録されている期間内はローンを組むこと、分割払いで商品を購入すること、カードの新規発行を受けることなど、事実上、困難です。

(5)調停条項に違反すると、強制執行の危険

任意整理の場合、合意した分割払いの約束に違反しても、直ちに強制執行を受ける危険はありません。作成した合意書は、合意の証拠に過ぎないからです。債権者が強制執行をしたいなら、合意書を証拠として、新たに裁判を起こして、確定判決をもらわなくてはならないのです。これに対し、特定調停の場合、調停が成立して合意内容が記載された調停調書は、確定判決と同様の効力があります。記載された分割払いの条件に違反した場合は、新たに裁判を起こす必要はなく、調停調書に基づいて、直ちに強制執行をすることが可能になります。

かなちゃん
費用が安いだけに、自分で申立手続をして出頭することは仕方ありませんが、ブラックリストにのったり、違反すると強制執行されたりするのは怖いですね。
ゆうとさん
ただ、特定調停以外の債務整理方法でもブラックリストには登録されてしまいますから、特定調停に限ったデメリットではありません。
これに対して、調停条項に違反すると強制執行が可能となってしまう点は特定調停を利用する債務者にとっては最大のデメリットです。
かなちゃん
特定調停で約束したら、確実に守らないといけませんね。
ゆうとさん
そうです。逆に言えば、特定調停では返済条件に不安があるなら、絶対に合意してはいけません。

まとめ

かなちゃん
特定調停の内容がよくわかりました。費用を安くできることは魅力ですが、メリットばかりではないのですね。
ゆうとさん
費用の面だけで債務整理の方法を選ぶべきではありません。その債務者ごとの置かれた状況に応じた最適な方法を探すことが大切です。
かなちゃん
自分にとって最適な方法を見つける自信がないのですが・・・
ゆうとさん
そのための法律相談です。弁護士、司法書士に法律相談をすると、依頼しなくてはいけないのではと思われている方がいますが、まったく誤解です。その債務者のためにどんな方法が良いのかを一緒に考えて、アドバイスをしてくれる場が法律相談です。

無料の債務整理相談を受け付けてくれる弁護士、司法書士もたくさんいます。是非、専門家に相談してみることをおすすめします。

各債務整理のメリットとデメリット

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自己破産とは? https://xn--98jzans4lu43rpbcu67dfo1amqu9i4c.com/archives/3219 Thu, 10 Dec 2020 15:17:01 +0000 https://xn--98jzans4lu43rpbcu67dfo1amqu9i4c.com/?p=3219 自己破産とは?メリットとデメリットをわかりやすく解説します
かなちゃん
実は、私のおじさん(母の弟)が借金で悩んでいるんです。たくさんの借入先から毎月取り立てを受けていて、もう限界だ、自己破産するしかないって、私の母に話していたんです。

でも、自己破産なんて、なんだか怖い。おじさんは、会社員だから、勤務先にばれたら仕事もなくなるんじゃないかと母も心配しています。

ゆうとさん
自己破産には、現代でもマイナスなイメージがありますね。会社をクビになるとか、パスポートをとれなくなるとか、選挙権がなくなるとか。しかし、全部、都市伝説です。事実ではありません。
かなちゃん
ええっ!嘘なのですか!
でも、自己破産って、借金を返さなくてもよくなる方法でしょ?何の不利益もないのなら、お金を借りている人は、みんな自己破産してしまわないかしら?
ゆうとさん
たしかに、自己破産は、裁判所が、借金を返済しなくてもよいと認めてくれるもので、債務整理の方法としては、最も強力です。ですから、責任を免除してもらうには、厳格な条件があります。デメリットがあることも事実です。

でも、うわさに過ぎない不正確な知識で、自己破産を怖がることはありません。

かなちゃん
そうですね。なんでも、よくわからないものに恐怖を感じるもので、本当の姿がわかれば、怖くなくなりますからね。
ゆうとさん
では、これから、自己破産のメリット、デメリットを紹介してゆきますが、その前に、債務の整理方法には、どのようなものがあるかを知っておいて下さい。これには、5つの方法があります。

債務整理の5つの方法

ゆうとさん
債務整理の方法には、5つの種類があります。任意整理、特定調停、個人再生、自己破産、過払い金請求です。

任意整理

任意整理は、債権者との交渉によって、債務の額を減額してもらったり、分割払いにしてもらったりする方法です。話し合いですから、債務者本人だけでも可能ですし、弁護士や司法書士を代理人として行うこともできます。

交渉の結果、今後の利息金はカットしてもらい、3年から5年の分割払いで話がまとまるケースが多いですが、特に決まりがあるわけではなく、返済条件は、ケースバイケースです。
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特定調停

特定調停も、債権者との話し合いですが、簡易裁判所での調停手続を利用し、裁判所の調停委員を仲介役として行うものです。特定調停は、債務者本人だけで手続を利用できるよう配慮された制度です。

裁判所が、債権者を呼び出し、利息制限法に定められた利率で計算をし直し、分割払い等の交渉を仲介してくれます。今後の利息をカットして、3年間の分割払いとすることを目安としています。
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個人再生

個人再生とは、裁判所に、債務の一部カットと残りの債務の分割払いを認めてもらう手続きです。

このうち、「小規模個人再生」は、債務総額が5,000万円以下(税金等を除く)で、安定した収入がある個人が利用できます。カット後の債務につき、原則3年で分割弁済する再生計画を債権者からの一定数の異議がないことを条件に、裁判所に認めてもらうものです。

小規模個人再生の特則である「給与所得等再生」は、収入が給与などの定期的な収入で、その変動幅も少ない場合に利用できる手続です。再生計画に対する債権者からの異議の有無を問わず、裁判所だけで再生計画を認可することができます。

いずれの場合も、住宅資金貸付債権に関する特則(住宅ローン特別条項)という制度の適用があり、住宅ローンだけを別枠として、リスケジュースを行うことが認められます。これによって、住宅を失わずに債務整理をすることができます。
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自己破産

自己破産とは、①裁判所が選任した破産管財人によって、債務者の資産を処分して金銭に変え、債権者への支払いに充て、②それでも残った債務の責任を免除する手続です。

①を狭い意味での破産手続と言い、債権者間の公平を確保するための手続です。②は免責手続と言い、債務者の経済的更生、つまりやり直しの機会を与えるための手続です。以下で、詳しく説明します。

過払い金請求

過払い金請求は、利息制限法で定められた利率を超える利息金を支払っていた場合、支払い過ぎたお金として、その返還を求めるものです。

任意整理、特定調停、個人再生、自己破産のいずれの債務整理方法でも、利息制限法所定の利率に引き直した計算をして、債務額を確定することが当然の前提です。引き直し計算の結果、過払い金があれば、任意整理、個人再生、自己破産では、その過払い金を回収して手続を進めることになります。

特定調停では、その手続の中では、過払い金返還請求の有無までは調べてくれますが、その返還請求までは取り扱ってくれませんので、別途の手続をとる必要があります。
もっと詳しく

かなちゃん
任意整理、特定調停は、どちらも債権者との話し合いで、その交渉方法が違うのですね。
個人再生と自己破産は、裁判所が主導してくれる法的手続というわけですね。
ゆうとさん
そうです。それに対し、過払い金返還請求は、借金の整理の途中で、過払い金返還請求する権利があることがわかることが多いけれど、それには限られません。債務を全部完済した人でも、利息を払いすぎていれば、過払い金返還請求権はありますから。
かなちゃん
債務整理に5つの方法があることはわかりました。その中で、自己破産を選ぶのは、どんな場合なのでしょうか?
ゆうとさん
自己破産を選ぶべきかどうかの基準を知るには、自己破産事件の2つのパターン、同時廃止事件と管財事件の違いを知っておく必要があります。
かなちゃん
同時廃止事件?管財事件?なんだか難しそう・・・
ゆうとさん
法律用語ですから、言葉は難しく感じるけれど、中身を説明されれば、とても簡単なことだとわかりますよ。

同時廃止事件と管財事件とは?

自己破産は、①破産管財人が行う、狭い意味での破産手続と、②免責手続の2段階に分けられると説明しました。

破産管財人はほとんどの場合、弁護士が選任されます。破産管財人は、債務者の資産を調査して、管理し、処分、換金して、債権者らに配当するという一連の仕事をしますので、無料ではありません。その破産管財人の費用(報酬)等は、債務者の資産の中から支払われます。

そこで、債務者の資産が破産に必要な費用にも足りないという場合は、①の手続を行わずに、②の手続に入ります。これを同時廃止事件と言います。他方、破産管財人が選任される事件を管財事件と言います。

管財事件となるか、同時廃止事件となるかの分かれ目となる債務者の資産ですが、20万円以上の価値のある資産を有する場合は管財事件となるとされます。ただし、この目安は、各裁判所によって様々であり、統一した扱いはされていません。破産申立の際には、その裁判所での取扱を確認する必要があります。

かなちゃん
つまり、破産管財人となる弁護士さんの費用等も出せないほど資産が少ない場合は資産を処分して債権者に配当する手続は行わないで免責するかどうかの手続だけが残るのですね。
ゆうとさん
そうです。別に、難しい話ではないでしょう?
かなちゃん
でも、その管財事件になるか、同時廃止事件になるかの基準となる資産が各裁判所によって違うのは何故でしょう?
ゆうとさん
これは各地方の裁判所の事情によるのです。例えば、大都会のように破産管財人を引き受けてくれる弁護士が多い所と、なり手が少ない地方では同じ扱いをすることには無理があります。
その裁判所での破産申立件数の多さ、少なさにもよります。慎重に審査するには管財事件にしたほうが良いのですが、事件数が多く管財人の人材確保が難しい場所では同時廃止事件とするハードルを下げざるを得ません。

自己破産を選択するべき人とは

第一に、返済計画を立てることが不可能な方です。

任意整理、特定調停、個人再生は内容は異なりますが、どれも債務の弁済をすることが最終目標です。実行可能な返済計画を立て得ることが、これらの手続きを利用する前提です。

しかし、手持ちの資産や、今後見込める収入から考えて、到底、実行可能な返済計画を立てることができないという場合は、最後の手段として破産申立を行うしかありません。

第二に、同時廃止が見込まれる方です。

債務者が見るべき資産(※)を有していない場合は同時廃止事件となります。破産管財人はつきませんので、資産を処分されることはありません。したがって、もともと格別の資産を持っていない方は破産申立を行い、免責決定を受け、返済を免れる方が他の債務整理方法よりも有利です。

(※)ここでの20万円以上との目安は、資産全体ではなく、個々の資産毎に判断されます。例えば、預金15万円と15万円の価値のある中古車を保有している場合は全体としては30万円ですが、個々の資産は20万円に足りないので、同時廃止事件となります。また、先にも説明したとおり、この目安は各裁判所によって異なります。

かなちゃん
最終的に返済できる目処がたたない場合や失う資産がない場合は自己破産を検討したほうが良いわけですね。
ゆうとさん
そうです。せっかく債務整理をしたのに無理な返済計画で苦しむよりも自己破産でやり直した方が良いと言えます。

自己破産のメリット

自己破産のメリットの第一は債務の返済を免れるという強力な効果です。裁判所の認める法的な手続ですから、債権者はもう何もできません。

また、自己破産手続の代理を弁護士や司法書士に依頼すれば、 貸金業者に受任通知が届いた後は取り立てを行うことはできなくなります。

債権者から給与などの財産の差し押さえを受けている場合、破産申立を行い、裁判所が手続の開始を決定してくれると、差し押さえの効力を失わせることができます。

かなちゃん
自己破産は、とても強力な手続だけど、反対にデメリットも多いのではないですか?
ゆうとさん
いいえ。他の債務整理方法に比べて、格別、不利益が多いというわけでもないのです。ここは、正確な知識をもっていただきたいと思います。

自己破産のデメリット

ブラックリストに登録される

破産申立を行うと、その事実が信用情報機関のデータベースに登録されます。いわゆるブラックリストです。銀行、貸金業者、信販会社などの金融機関は、顧客と契約をする際に、信用情報機関のデータを参考にして、審査を行います。破産申立の事実が登録されていると、事実上、信用がない者と判断されます。このため、新たに融資を受けるなどの取引は困難です。

日本には、3つの信用情報機関があります。①株式会社日本信用情報機構(JICC)、②株式会社シー・アイ・シー(CIC)、③全国銀行個人信用情報センター(一般社団法人全国銀行協会JBA)です。

破産申立の事実が登録されている期間は各機関によって異なります。JICCとCICは5年間、全国銀行個人信用情報センターは10年間です。

この期間内は住宅ローンや自動車ローンを組むこと、携帯電話やスマートフォンを分割払いで購入すること、クレジットカードの発行を受けること等は難しいことになります。

かなちゃん
何年もローンやカードを使えないというのは厳しいですね。
ゆうとさん
でも、債務が支払えなければ、結局、不払いの記録が残るので、自己破産をしていなくても、同じ不利益を受けることになります。他の債務整理方法でも記録はされるので、自己破産だけのデメリットというわけではありません。

免責許可事由があれば、免責を受けられない

免責が認められるには条件があります。不誠実な債務者には免責は認められないのです。これを免責不許可事由といいます。免責不許可事由には次のようなケースがあります。

  • 債権者を害する目的で、財産を隠したり、財産の価値をわざと減少させたりする行為をした場合
  • 購入した商品を売却して金銭に変える目的で、クレジットカード決済などの分割払い、後払いで商品を購入し、それを売却した場合
  • 特定の債権者に、特に有利な内容の返済をした場合
  • 債務を負った原因が、ギャンブルや、ブランド物を買いあさるなどの著しい浪費にある場合
  • 破産申立てをする1年前以内に、もはや支払いできる状態ではないことを、あえて隠して、分割払いで商品を購入した場合
  • 破産申立にあたって裁判所に提出した債権者名簿の中に、あえて虚偽の記載をした場合
  • 破産申立ての後、裁判所の調査を拒否したり、虚偽説明をしたりした場合
  • 過去7年以内に破産をして免責を受けていた場合

ただし、免責不許可事由がある場合でも、それが債務者の不誠実さを示すとまでは言えず、一切の事情を考慮して、免責することが相当と裁判官が判断をすれば、免責を認めることができます。これを裁量免責といいます。裁判所の実務では、よほど極端な場合でない限りは免責を認める方向で検討してくれます。

かなちゃん
そういえば、おじさんは、パチンコが大好きだったわ。免責を受けることができないのかしら?
ゆうとさん
ギャンブルが免責不許可となるのは、ギャンブルを原因とする借金の金額が著しい場合です。借金のほとんどをつぎ込んだという極端なケースなら問題です。
しかし、パチンコが好きで、借金したお金をパチンコに使ったことがあると言った程度では免責不許可事由にはあたりませんから、大丈夫ですよ。

非免責債権は免責されない

免責が認められても、全ての債務が免責されるわけではありません。様々な理由から、免責の効力が及ばない債務もあります。それが非免責債権です。

租税債権:
公益上の理由から、税金は免責されません。

悪意で加えた不法行為による損害賠償請求権:
積極的な加害意思のあるケースで、免責の恩恵を与えるべきではないからです。判例では、債務超過で、クレジットカードの支払いができないことを知りながら、カードで商品を購入した場合に、非免責債権に該当するとした例があります。

故意、重過失によって、人の生命身体を害した不法行為による損害賠償請求権:
被害者救済の観点から、免責されません。

養育費や婚姻費用分担請求権:
これらは子供などの生活の基盤であるため、責任を免除することはできません。

債権者名簿に記載しなかった債権:
債権者名簿に記載されなかった債権者は、免責手続の通知を受け取ることができず、免責に対して意見を述べる機会がありません。にもかかわらず、その債権を失わせることは不当なので、非免責債権とされます。

罰金:
これも公益上の理由から免責されません。

資産を処分しなくてはならない

管財事件の場合は管財人によって資産は処分され、配当に回されます。不動産、車、宝石、貴金属、有価証券など、高額な資産がある場合は、それを失うことを覚悟しなくてはなりません。

ただし、債務者が所有する資産の一切が処分されるわけではありません。特に、裁判所による破産手続を開始する決定が出された後に債務者が得た収入は処分の対象とはなりません。家財道具などの生活用品も対象外です。

かなちゃん
自己破産というと、何もかも失ってしまうイメージがあったけれど、違うのですね。
ゆうとさん
そうです。自己破産は債務者のやり直しを手助けする制度ですから、生活できなくなってしまうような扱いはしないのです。

職業に制限を受ける

破産手続をした場合は、一定の職業に就くことが制限されています。弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、会社の取締役、宅地建物取引士、警備員、パチンコ店店長などです。ただし、免責を受けて手続を終了すれば、制限はなくなります。

旅行などに許可が必要となる

管財事件の場合は、手続終了まで、裁判所の許可なく旅行をしたり、引っ越しをしたりすることはできません。これは、管財人と連絡がつかなくなってしまうことを防止するために過ぎません。きちんと裁判所に届出さえすれば、通常は許可されます。もしも、許可を得ないまま旅行へ行ったり、引っ越しをしたりして、後に裁判所に発覚すれば、最悪の場合、免責をもらえない危険性があります。届出は忘れてはなりません。

尚、同時廃止事件ではこのような制限はありませんが、免責決定をもらえるまでの間に引越しをした場合は住民票と共に裁判所に届け出る必要があります。これは新住所を免責決定書に記載するためです。なお、破産をしてもパスポートを失うことはありません。破産したことがパスポートに書かれることもありません。

官報へ掲載される

破産手続をしたことは官報に掲載されます。官報は誰でも見ることができます。例えば、全国銀行個人信用情報センターは破産申立情報をこの官報から得ています。ただし、一般の人が官報を読むということはあまり考えられません。理屈上の可能性はあるとしても、実際、破産手続をしたことを、周囲に知られるということは、まずありません。

ゆうとさん
官報を読んだことがありますか?
かなちゃん
いいえ。名前も初めて聞きました。
ゆうとさん
普通の方はそうでしょう(笑)。どこで読めるのかも知らない方が大部分だと思いますよ。ですから、自己破産したことが知られる危険はまずないのです。

保証人に影響が及ぶ

免責を得られても破産を申立てた債務者の債務がなくなるだけで、その保証人の責任には何ら影響はありません。むしろ、債務者本人に請求することができなくなる以上、債権者としては保証人から回収する努力をすることになります。保証人がその責任を免れるためには、保証人自身が自己破産をするしかありません。

かなちゃん
迷惑をかけてしまうなら、保証人の方には、破産することを話しておく必要がありますね。
ゆうとさん
それは仕方ありませんね。それに、保証人の方は債務者本人に対して保証債務の求償権という債権を持っています。本人の代わりに支払うのですから、その分を請求できるわけです。したがって、保証人も債務者にとっては債権者の1人ですから、裁判所へ提出する債権者一覧表に記載しなくてはなりませんし、裁判所から書面で保証人に連絡がゆきます。ですから、保証人の方には破産することを隠すことはできません。そうであれば、事前に事情を説明してお詫びすることが大切です。
かなちゃん
なるほど、自己破産のデメリットもよくわかりました。選挙権がなくなるとか、会社をクビになるとかの話は?
ゆうとさん
いずれも嘘です。選挙権と破産は無関係です。従業員が破産したことを理由に解雇することもできません。労働契約法違反となる無効な解雇です。

まとめ

かなちゃん
自己破産がどういうものか、よくわかりました。たしかに、簡単なことではないけれど、借金で苦しみ続けることと比べれば、ひとつの選択肢なんですね。
ゆうとさん
もちろん、自己破産は最後の手段です。避けたほうがよいことは当然です。でも、人生は一度きりです。借金の返済で一生を棒に振ってしまうことはありません。
かなちゃん
でも、自分が自己破産を選ぶ方がよいかどうか、冷静に判断することは難しいようにも思います。
ゆうとさん
そのとおりです。例えば、先に説明した、同時廃止事件となるか、管財事件となるかの区別などは、その裁判所の地域の弁護士や司法書士でなくてはわからないことです。その他にも、ここでは紹介しきれない細かい注意点が沢山あります。今では、債務整理の相談は無料で受け付けてくれる弁護士、司法書士も多くなっています。素人判断をせずに、まず専門家に相談することです。

各債務整理のメリットとデメリット

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任意整理とは? https://xn--98jzans4lu43rpbcu67dfo1amqu9i4c.com/archives/3103 Wed, 09 Dec 2020 07:40:49 +0000 https://xn--98jzans4lu43rpbcu67dfo1amqu9i4c.com/?p=3103 任意整理とは?メリットとデメリットをわかりやすく解説します
かなちゃん
借金生活を早く抜け出したいので任意整理を考えています。以外と誰でもできるみたいなこと言われているし、いっその事やってしまおうと考えているのですがいかがでしょう?
ゆうとさん
確かに債務整理の中でも「任意整理」に関しては比較的誰でも受けられるし、一般的には任意整理を利用しての債務整理が多いとされてるよ!
かなちゃん
その「任意整理」に関してはお金もかからずできるし、デメリットも少ないんですよね?バレる心配もないみたいだし。
ゆうとさん
自己破産をはじめとする他の債務整理に比べたら確かに少ないけど、そんな安易な考えはあんまりよろしくないと思います。
任意整理して一時的に楽になっても後々響いてくることもあるからね。返済をすべて終えてからでも影響を受けることだって残念ながら珍しくないんだ。

ということで、先々のことまで見据えて債務整理をするか考えることが重要だからね!今日は一緒に利用について考えていこうか!

債務整理にも種類があることを理解する

ゆうとさん
さっき少し任意整理なんて言葉がでたけど、「債務整理」にどんな種類があるか知ってるかな?
かなちゃん
いえ、実は詳しくは何もわかっていません!
ゆうとさん
債務整理には主に任意整理、特定調停、個人再生、自己破産、過払い金請求の5種類があります。各債務整理の意味は下記のようになります。

任意整理
債務者の申し立てから債権者との交渉の末、その後の返済計画が決められます。基本的には、利息制限法で引き直しを行い将来支払う予定である利息が減額、免除された金額を3年、または5年かけて返済していきます。

特定調停
債務者と債権者の間に簡易裁判所が入り、その後の返済計画が決められます。利息制限法で引き直しを行い将来支払う予定である利息が減額、免除された金額を3年、または5年かけて返済していきます。
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個人再生
債務者と債権者の間に地方裁判所が入り、残りの借金を減額ができる債務整理手続きです。強制的な資産の処分等はなく住宅や車等持ったままでも手続きが進められます。金額にもよりますが一般的には概ね1/5、最大1/10、借金を減らすことが可能です。
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自己破産
債務者が地方裁判所に申し立てをして、全ての借金がゼロなる債務手続きです。誰でも適用されるわけではなく、借入額、資産状況や収入の状況等、あらゆる面から総合的に判断されることになります。
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過払い金請求
過払い金請求は利息制限法で定められた利率を超える利息金を支払っていた場合、支払い過ぎたお金として、その返還を求めるものです。
任意整理、特定調停、個人再生、自己破産のいずれの債務整理方法でも利息制限法所定の利率に引き直した計算をして、債務額を確定することが当然の前提です。引き直し計算の結果、過払い金があれば、任意整理、個人再生、自己破産では、その過払い金を回収して手続を進めることになります。
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任意整理を行う5つのメリットとは!?

ゆうとさん
よし、では債務整理の種類を知ったところで、利用者が多いとされる任意整理について詳しく迫っていこうか!
かなちゃん
私が利用しようとしてるやつですね。よろしくお願いします!
ゆうとさん
まずは任意整理の5つのメリットを説明していきますね。
  1. 将来払うべき利息を減らすことができる

1番のメリットは将来払うべき利息額の減額や免除になります。この際、3年で支払える金額が適用されることが多いですが、借金の額が大きい場合は5年、またはそれ以上を適用してくれる場合も稀にあります。

  1. 取り立てがなくなる

借金の延滞がなどが続き、激しい取り立てや毎月自宅に届く請求書に怯えている人も多いはずです。しかし、任意整理の依頼をされた弁護士は債権者サイドに「受任通知書」を送ります。受任通知書が送られた債権者は原則として債務者に取り立てを送ることができなくなるので、毎月の催促に怯えることがなくなるでしょう。

ちなみに受任通知書を債権者が受け取ると、その瞬間返済が一時的にストップします。つまり、弁護士に相談して任意整理することが決まる→実際に適用されるまでの期間は支払う義務がなくなるということです。この期間に少しでも貯金をしたいものですね。

  1. 利用の手間が少ない

任意整理を希望し弁護士などを利用し、実際に任意整理が適用されるまでの期間が3ヶ月?半年程度とされますが、その間あなたがすることは弁護士に相談しに行くことと以下の書類を揃えることでしょう。

  • 身分証明書
  • 借金の残高が証明できるもの
  • クレジットカード
  • 消費者金融カード
  • 取引履歴が分かる預貯金通帳等
  • 住民票
  • 収入証明(源泉徴収表等)
  • 印鑑

これらを揃えば、後に残される和解交渉は基本的に弁護士がすべてやってくれるので、和解の場に出向くなどの必要もなくなり比較的手間が少ないと言えます。

  1. 過払金を請求できる

かつての法律と現在の法律の隙間を埋めるべく過払金の請求が可能になります。日本ではかつて「利息制限法」と金利を20%までとする法律と、「出資法」という利息を29.2%までとする2つの法律がありました。そのため、多くの金融業者がこの20~29%の間に金利を設定し「グレーゾーン金利」なんて言葉の元、借り入れが行われます。さらには条件を満たせば29.2%を超えた金利で貸付を行うことも可能になる「みなし弁財」の規定なんかも存在し、社会問題となっていました。

問題を解決すべく2006年に「みなし弁財」がなくなり、多くの金融業者が足並みを揃える形で金融を下げます。そして、このタイミングで今まで払っていた金利を過払金として請求できるようになりました。さらに2010年には利息制限法と出資法の22つが改正され今に至ります。

2006年以前に29.2%の金利でお金を借りていた人は、現在の上限金利である10万円未満は年間20%、10~100万円は年間18%、100万円以上は15%、という上限のもと再計算され、差額分を過払金として請求することが可能になります。

しかし、この過払金も10年という時効があるので、それを過ぎてからの請求は原則として認められていないので注意しましょう。

  1. バレるリスクが少ない

一概に絶対バレないとは言い切れませんが、任意整理は裁判所を通していないのでバレることがまずないと言われています。取り立てがなくなるのと同様、債権者側から債務者側にコンタクトをとることができなくなるに加え、任意整理後のやりとりは基本非債権者である弁護士と債務者間で行われます。

唯一弁護士からの連絡等でバレる恐れは否定できませんが、弁護士としても利用者のプライバシーは最大限に守るよう注意してくれるでしょう。どうしても心配な場合は、仮に電話が必要となった場合にかけてくる時間や郵便物がある場合の受け取り方法等、あらかじめ相談しておくといいです。

任意整理を利用する3つのデメリット

ゆうとさん
よし、私から言えるのは今から任意整理をしようと思っている人はここからが本番ということかな。メリットは確かに多いけど、もちろんデメリットもつきものだからね。これから言うことをしっかり理解するんだよ!
  1. 小額の借り入れも今後できなくなる(ブラックリスト入り)

任意整理に限らず債務整理を行う人すべてに共通して言えることですが、個人信用情報期間のリスト入りがされます。
いわゆるブラックリストというやつですね。JICC(日本信用情報機構)、CIC(割賦販売法・賃金業法指定信用情報機関)、JBA(全国銀行協会)という3つの信用情報機関が日本にありますが、この任意整理の場合はJICCに記載されます。

基本的にクレジットカードの契約ができなかったり、新たに車のローンを組みづらくなる可能性が非常に高くなるでしょう。任意整理の場合、JICCであれば5年でブラックリストから抜けることが可能です。なので、もし任意整理を申し込むことを考えている人は5年先のことまで見据える必要があります。

  1. 他の債務整理と比べると効果は大きくない

他の債務整理を見渡していただくとわかるのですが、任意整理は基本的に将来支払う利息の免除や減額のみなので、そもそもの元金が減った、帳消しになる等大きな効果はありません。

自己破産の場合:
全額免除可能

個人再生の場合:

借金の総額 個人再生後の借金額
100万円未満 全額免除
100万円以上500万円以下 100万円
500万円超1,500万円以下 債務額の5分の1
1,500万円超3,000万円以下 300万円
3,000万円超5,000万円以下 債務額の10分の1
5,000万円超 債務整理不可

(すべて最低弁済額なので必ずしもこの数字になるとは限りません)

特定調停の場合:
減額も可能

特定調停に関しては、任意整理と同じく基本は利息の免除や減額が適用されることが多いですが、その内容は債務者と債権者間が合意した内容であれば、概ねなんでもありとなっております。基本的に債権者は「借りたお金は最低限返してください」というスタンスなので、元金の減額が適用されるケースが多いとは言えませんが、可能であることは確かです。

ゆうとさん
他と比べて見ると任意整理は効果は少ないのが現実だよね。そもそもの借金の額が多くて、その額に対して返済能力が著しく低いと判断せざる得ない人からしてみれば、任意整理はあまり好ましくないんだ。
  1. 保証人に迷惑をかける恐れも、、、

仮に保証人がついている借金を債務整理の対象とする場合は保証人に請求が行くことになるので注意しましょう。債務者の返済能力がなくなった時のための保証人です。つまり、”(債務者が)返済能力がなくて債務整理をしたい” → “請求が保証人に行く”というのはある意味自然流れです。

この部分は交渉により、保証人に迷惑をかけない方向に持ち込むことも十分に可能ですが、債権者側からしてみれば債務整理により元金の減額をされることは気持ちのいいものではありませんので、なんとか貸したお金は回収しようとします。保証人を立てての借金の場合は、他の人に迷惑がかかる恐れがあることをしっかり把握して判断を下すようにしましょう。

債務整理が仕事にもたらす影響は?

基本的に債務整理をしたからと行って社会的な信用までなくなり仕事をクビになったり正社員の職につけない等はございません。ただ、自己破産をした場合に限り、自己破産手続き後?免責決定(借金がチャラになる)まで仕事の制限があります。

弁護士、警察官、税理士、行政書士等、もっともらしいところから、不動産関係、生命保険関係、建設関係、旅行関係等、特別な資格がいらない比較的馴染みの深いところまで職につけないです。信用、お金が多いに関わる仕事はつけないと考えて方がいいでしょう。ただ、これは一時的なものであって免責決定後は国家資格だって取得できますし、上記であげた職にも就業することが可能です。

弁護士、警察官、税理士、行政書士等、もっともらしいところから、不動産関係、生命保険関係、建設関係、旅行関係等、特別な資格がいらない比較的馴染みの深いところまで職につけないです。信用、お金が多いに関わる仕事はつけないと考えて方がいいでしょう。ただ、これは一時的なものであって免責決定後は国家資格だって取得できますし、上記であげた職にも就業することが可能です。

自己破産を理由に勤務している会社が解雇をすることは禁止をされているので、自己破産をしたからといって会社を強制的に辞めさせられる等のリスクはないものと考えていいでしょう。

そもそも、社員が自己破産、債務整理をした事実を会社サイドが知ることは自分から打ち明けない限りまずないので、クビを恐れる必要はりありません。ただ、例外として先ほど紹介した免責決定までの期間制限がかかる業種に関しては、期間中の働き方や扱いは会社サイドと話しあって決める必要があるので把握されるのはしょうがないことでしょう。

かなちゃん
でも基本は会社は社員が自己破産をしたことを知る余地がないんですよね?となると黙っていればなんとか乗り切れる気もしなくもないけど、、、
ゆうとさん
人によって色々異なるけど、免責が決まるまでの時間は1年近くかかることもあるからね。ま、モラルの問題でもあるけど、就業規則へ違反してる恐れもあるしバレたときのリスクを考えることも大切だよ。解雇はできないし、しっかり打ち明けた方が気持ちに引け目を感じずに済むよね。

まとめ

ゆうとさん
どうかな?任意整理の話しを中心に債務整理全体のことを話したけど。
かなちゃん
う~ん。まだ借金の額がそこまで大きいわけではないから、任意整理をするのがベストかなーと。ただ、JICCでしたっけ?あれのブラックリストに5年間の間載り続けるのは正直嫌ですね。

これから、車だったり、家だったり、携帯の端末購入だって今やローンだし、以外に身近な何気ないところまで影響があると考えるとしんどいです。結婚なんかしたら、自分がローンを組めないことで相手に迷惑がいくことだって考えられるし、、、

ゆうとさん
そうだね。特に任意整理に関しては元金が大幅に減るわけでもないからね。その辺のメリットデメリットをしっかり踏まえた上で判断するのが大切だってことだよ!もちろんそれを踏まえた上で他の債務整理方法を考えるのも1つの手だけどね!
かなちゃん
はい。それを踏まえてもう1度考えてみます!とりあえず自分の現状と何が適切なのかは自身で判断するのは難しいので、無料相談が可能な法律事務所にでも行ってみます。
ゆうとさん
ナイスアイディア!「一人で悩まないで!」なんてよく言われるけど本当なんだ。調べれば何でも分かる時代だけど、専門家に直接相談することでより疑問がクリアになることだってあるからね!

24時間電話を受け付けているところもあるし、時間がない場合は電話だけでもしてみることをオススメするよ。

各債務整理のメリットとデメリット

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内緒に向いている債務整理はどれ? https://xn--98jzans4lu43rpbcu67dfo1amqu9i4c.com/archives/2163 Fri, 20 Nov 2020 03:28:01 +0000 https://xn--98jzans4lu43rpbcu67dfo1amqu9i4c.com/?p=2163 債務整理は法律で認められた借金問題を解決するための手続きです
ゆうとさん
まずはこちらの動画をご覧ください。債務整理という法律で認められた手続きを取ることで、どんな状態でも借金問題を解決できます。もちろん、家族にも職場にも友人にも内緒で手続きを進められるので、ご安心願います。

家族に借金のこと内緒にするにはどの債務整理方法がおすすめなの?

かなちゃん
債務整理を使用と思っているのですが、なんとか内緒で整理できればと思っているんです。でもいくつかの種類があるようで、実際にはどの方法がいいのですか?
ゆうとさん
そうだね。一言で債務整理といっても、『任意整理』『特定調停』『個人再生(民事再生)』『自己破産』、後ちょっと違うけど『過払い金請求』というものもあって合計5つの方法があるんだ。この中で内緒で借金を整理するのに向いているのは、『任意整理』が一番やりやすいね。
かなちゃん
なんで任意整理だと内緒で処理しやすいんですか?
ゆうとさん
その前に、これら5つのことについて概要を説明したほうがよさそうだね。

『概略』 債務整理の5つの方法


任意整理:あなたの代わりに弁護士が間に入り、お金を借りている人と交渉して返済する金額を減らす整理方法。

特定調停:自分で交渉や手続きをしないといけないが、裁判所が間を取り持ってくれる整理方法。

個人再生:上の二つでは処理できない多額の借金がある場合に使われる整理方法。

自己破産:借金をチャラに出来る方法。

過払い金請求:払いすぎた利息を返してもらうための手続き。

かなちゃん
これだけを見ると、自己破産の方がいいように思うのですが、、、
ゆうとさん
じゃ次にこれらの整理方法がどうのメリットとデメリットみていこう。まずは、簡単な表を見てほしい。これで大体のメリットとデメリットがわかると思うよ。

債務整理の簡単比較表。

任意整理 特定調停 個人再生 自己破産 過払い金
借金の減る額は? 中~高 中~高 チャラ 戻ってくる
弁護費用は? なし
会社にバレる可能性
家族にバレる可能性
財産がなくなる?
みんなに(官報)に公表される される される

※ただ、相手側の出方、特殊な場合などは、必ずばれないという保障はありません。詳しくは弁護士と相談して整理方法を検討してくださいね。

次は債務整理について詳しく説明してきますね。

任意整理

これは、さっきの説明のとおり、弁護士を間に入れて相手側と交渉して借金の金額を減額してもらう方法なんだ。内緒で処理しやすい理由として、間に弁護士が入ってくるので、督促や催促などのやり取りなど全て弁護士がやってくれるのでバレる可能性が低いんだ。他にもバレにくい要素として、基本的には相手側との話し合いのもとに整理されるので、どの借金を整理するのかを選べたりする。

例えば、家族の保証人がついている借金を債務整理すると、家族に連絡が行くので確実にバレます。「これはばれそうなので、それ以外のものを整理しよう」という作戦が立てられるんだ。だから、秘密で処理しやすいってことが言えるだよ。

他にも、必要書類の提出がそれほど多くないところもいいところ。破産とかになってくると借金がチャラなる分、断然審査や成約が厳しくなります。あなたの持っている財産は全て処理してお金にしてから破産してください。ということになるので、家族にバレやすくなるので、臨機応変に対応できる『任意整理』が向いているということになります。

特定調停

この方法は、弁護士を通さずに、自分でお金を借りている人と交渉していくことになります。例えば任意整理であれば、窓口を弁護士に一本化できるため、秘密で整理していきやすいですが、全て自分のところに電話やはがきなので郵便物が届くので、かなり注意しなければなりません。また、難解な書類の作成、裁判所にも何度もいかないといけません。これらのことを踏まえるとちょっと内緒で整理できるのか難しいと思います。

自己破産

この方法は借金を完全にチャラに方法ですね。チャラになる分いろいろな成約がかかってきてしまいます。どうしても内緒でということであれば出来ないこともないのですが、ただ出来る可能性のある人とない人があります。内緒でできる可能性があるのは、専業主婦などの方です。一方難しいのは、男性の方はちょっと難しいですね。

専業主婦が可能性がある理由は、家族にばれるような財産を持っている可能性が低いからです。やっぱり自己破産は財産の整理があるので、ここからどうしても家族に話をしないといけないことが多いです。このような理由から、男性の場合だと例えば、車のローンや家のローンなど男性名義でやることが多いので、どうしても家族にばれてしまうかなと思います。

後、一番のデメリットは、官報に名前が掲載されることです。他の方法は借金整理のことについて、みんなに公開されることはないのですが、これらは官報という形で公開されてしまいます。なので、調べられれば確実にバレます。ただ、普通の人はこのようなことを知らないことと、調べるのが面倒なので、破産しているか調べてやろう!!と思わないとわかりません。専業主婦の方で自己破産をうまくやられている方は多いですよ。

どの種類の債務整理を選択すべきか?

ゆうとさん
どの種類の債務整理を選択したらいいのかわからない人は次のチャートに従って、YES、NOを答えていってください。すぐに自分が取るべき債務整理の方法がわかると思います。

(↓下記の図をクリックすると大きくなります↓)

ゆうとさん
少し補足します。闇金業者はそもそも法律に違反しているので、債務整理以前の問題になります。闇金業者に精通している弁護士・司法書士に依頼して、闇金業者を排除してもらってください。あと、『特定調停』については「自分でやらなければいけない」という決まりはありません。弁護士に手続きを代行してもらうこともできます。

最終的にどのように借金問題を解決していくかは、素人判断せずに専門の弁護士・司法書士に相談して、アドバイスしてもらうことをオススメします。債務整理は依頼者にとっては一生に一回の手続きとなりますが、専門の法律事務所はその状況に何千回、何万回と立ち会っています。豊富な経験を持っている方がより最適な方法で借金問題を解決できるのは言うまでもありません。

各債務整理のメリットとデメリット

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